セザンヌの部屋

トランプをする人達(47.5×57cm) 1890-95年

セザンヌは筆の遅い画家だった。モデルは来る日も来る日も忍耐を要求され、静物同様の扱いを受けた。コーヒー沸かしの傍らで堂々と不動の姿勢を保っている女性も(下の絵)、酒瓶とテーブルを挟んで両側に座る農夫の二人もそうだった。何故なら、セザンヌはオブジェに取り組むと、まるで空間を切り開き、平らにし、作り直そうとしているのではないかと思われるほどモデルの身体を吟味したからである。当初期待されたのは肖像画であり、田舎に良くある風景であり、晴天の元に行われる水浴(下の絵)だったが、彼はそれを彩色された平らな面から、その中に潜むブルブルと息づく多面的な様相を取り出して描いたのだった。

−オルセー美術館見学 ORSAY から−

 

コーヒー沸かしのある婦人像(130.5×90.5cm) 1890-95年

注:ガラスに反射が写り込んでいます<(_ _)>

 

水浴する男達(60×82cm) 1890-92年

 

玉ネギのある静物(66×82cm) 1896-98年

奥行きを軽く暗示するためにナイフを斜めに置く手法は、マネから引用されている。わざと少し持ち上げられた皿は、見下ろす視点で量感を見せ、その曲線をはっきりさせるのに有利に働く、ある時は表面、ある時は深さと、画面全体に作用を及ぼす黄で「加減された」バラ色の調子を使うために玉ネギが描かれる。楕円形の緑の輪郭線がとぎれて、それが「でっさん」という性格を強めている。後略

−岩波世界の巨匠から−

リンゴとオレンジ(74×93cm) 1895-1900年

「制作を進める上で必要なのはナチュールだけだ。そのナチュールとの出会いで目が鍛えられる。何度も繰り返してナチュールを見て目を鍛えることにより求心力が増していく。一個のオレンジ、一個のリンゴ、一個の玉、一つの頭の中にも必ず頂点があり、その頂点は常に我々の目の一番近いところ、つまり消尽線上の中心へと収束されるオブジェの端にあるのだ。この技術に少し個性が加われば、誰もがたいした画家になれるだろう。素晴らしい調和や色使いを気にしなくても絵は描ける。芸術的センスがあれば十分だ。後略

−ポール・セザンヌ、1940年7月25日のエミール・ベルナールへの手紙−−オルセー美術館見学 ORSAY から−

 

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