4 私のルーヴル  18 ピエロ、あざみを持った自画像

 

「ピエロ、あるいはジル(縁日芝居の道芸役者)」

ジャン=アントワーヌ・ヴァトー 1718−19頃 画布・油彩 185×150cm

18世紀初頭フランスで、多くの愛好家を持つヴァトー。演劇も彼らの好んだテーマのひとつであった。フランスで大人気を博したイタリア演劇は1697年以降劇場を追われるが、ピエロ、あるいはジルといった登場人物を残して縁日の大衆演劇となった。作品のまれにみる大きさから、このピエロの格好をした人物が誰なのか、多くの謎を呼ぶ。画家の友人の肖像、あるいはかっての役者ベローニが開いたカフェの看板、または画家自身の肖像か。悲しげなピエロの足下にいる4人の人物が、彼を傍観している。

 

「あざみを持った自画像」

アルブレヒト・デューラー 1493年 画布の上に羊皮紙・油彩 56.5×44cm

鋭い観察力のみならず。内面をも見つめた画家デューラー。北方肖像画の伝統に倣う四分の三面観で描かれている。古代ローマのプリニウスによれば、あざみは夫婦の貞節の象徴であるという。このことから、手に持つあざみは、彼の婚約者アグネス・フライに宛てて描かれたという説もある。絵に残された年から、デューラー22歳の自画像と分かる。「自分の身に起こることは、天の思し召し」という意味の銘文が記される。

以上−別冊太陽 ルーヴル美術館−から

 

気分はパリジャントップ     現代ローマの景観図